龍が見えます。 私には、龍が見えるのです。 初めてその姿を見たのは3歳の頃でした。 母の手に引かれながら、たくさんのシロツメクサの生い茂る草原で、 私はこれからお花のかんむりをどれだけ上手に作れるかと心を躍らせていました。...

繋げたと思ったものも、積み重ねたと思ったものも 何もかもすべて、まやかしだったのかな。 そうして私を、助けてあげた気になっていたんだ。 繋げたものはあっという間にふわりとどこかへ飛んで行ってしまうし 積み重ねたものも、その重さに耐えきれず崩れ落ちる。...

最近、大きく日常が変わることがありました。 それはとっても痛みを伴って、私は自分が千切れてしまうかと思いました。 そんな中で、私は私を守るために考えていました。 世界が勝手に色を変えて、全部なかったみたいに様変わりしてしまっても 私自身が変わらなければ、私自身が傍にいれば…...

1秒前の私から離れるために、 私はその日失敗をする。 私がたくさん私に期待をしても、 それだって例えば失敗をしても、 持っていたものは何も失くさない。 裏切ったり、離れたりしないよ。 だけど私が誰かに期待をしたら その子の世界をちっとも知らないくせに、...

こうしたら良いことを、偉い人は教えるさ 君の心が曲がっていると、さざ波ひとつ立たないほどまっすぐに まっすぐに、真っ白に、 あっという間に君を染められるように こう生きたら良いことを、道行く人がしたためるさ “先行く人の教えは聞くものだ”...

みんなが失敗だって思うことをたくさんしようかなって思うんだ。 何にもならないよ、と笑いたくなるようなことを。 私は優れた人にはならず、偉い人にもならないでしょう。 ある日ぽつりと消えたって、誰にも気づかれやしないはず。 私はそれを、ずっと寂しいことだと思っていたのだけれど、...

わかるよ。 疲れるよね、ここ。

正しさの魔法なんてのは この世界に無くてよかったんだ だって正しさは優しさを孕んでいる必要があるの 君の師はきっとひけらかす さあ、これこそが正しい生き方なのだと 君が自ら見つけなくてはいけないことを、 世界は大きな旗として掲げるでしょう まるでそれ以外は間違いみたいに...

あなたの事を応援したい。 みんなに溶かした私の分もまとめて。 この星にはたくさんの人が住んでいるから ここにいるあなたと、あそこにいるあの子がまるで同じ生き物のように思えてしまうでしょう。 だけど、全く違う生き物だよ。 違う物を見て、違う色を感じる。...

大勢の人の気持ちが、正義を作るのかな みんなが同じ意見を目指して、同じ世界を見ようとしてしまったら その粒の揃い具合に目眩がしてしまいそう そこから外れると説明が必要になるの？ 言葉も万能ではないのに 誰かが塗った絵の具の色を、 ピンセットで剥がして その中の成分を分析して...

「もう、行ってしまうのですね」 彼岸花はそう静かに呟きました。 「うん、もう行かなくちゃ」 旅の子は丘の上から見える地平線をまっすぐと見つめました。 銀色の髪の毛がさらさらと風に遊ばれて靡いています。 彼岸花はその背中を眺めながら、なぜだか胸にもやがかかっていくようでした。...

雨はいつか止む。 だけど、また降る。 雨上がりは綺麗で、そこが正しい瞬間だと思ってしまいがちだけど たぶんそんなことはないんだね。 雨は降るけど、時々止む。 そっちの方がなんだかしっくりくる。 私の周りで雨が降っているわけではないのに、常に私の心の方では雨が止まないものだか...

我慢はお腹が痛くなる トゲトゲが気になって、吐き出せもしない 全部丸く収まったように見えるとき お腹のトゲトゲが突き刺さる 痛いのなら、何かを言わなくちゃ ねえ、言葉を見つけなくちゃ だけどどうしたって「みんな」でいなくちゃいけない気がして どこにもないのよ...

この度、私orieの画集が発売されました。 届いたよというご報告、読んでいただいたご感想、たくさんどうもありがとうございます。 とってもとっても、とっても嬉しいです。 生きているうちにいつか出せたら良いな、というような 自分にとっては遠い夢のおはなしだと思っていました。...

もしも世界が私のためにあったら 私は絵を描かなくても笑っていたのかな もしも世界が君のためにあったら 君はそんな風に泣かずにいられたの？ 誰かの周りで起きていることが いつの間にかひとりひとりの頭に入って 追い払おうにも追い払えなくて...

昔から本当に日常が苦手で、 頭の中がずっと絵空事で出来ている。 ここじゃない何処かのことばかり考えて 溜飲を下げている気がする。 絵を描かなくても生きていけるのだけどただ好きだから描いていて、というような人を見ると羨ましくなる。 私は絵がなくちゃ生きていけない。...

全部が夢で、全部が嘘で 遠くにいる君のことも 抱えたふりをした弱さのことも あっという間に元に戻って 痛かったことも優しかったことも 混ざり合って一つになって 良いことだけだったんだよ 最後にきっとそう思うんだ 宝物はたくさんあった？...

ね、そっちはどうですか？ こっちはまだまだ真っ暗です 全部はだめかもしれないけど 夜が受け止められる分くらいは、きっと預けてしまってね 許してくれるよ、小さないたずらくらい 優しい嘘も、優しくなかった嘘も… なんだか涙が止まらないの 心が家出したんだと思ったの...

全ては受け入れられない世界で 私は心を分けて他所へ置こうと思ったのです どこかに散らばった記憶の感情は そうして誰かの元へ到着して 片っぽと片っぽがお守りになったらいいのにと、端っこの窓からぼんやり思うのです いくつも増えた水滴が 泡になる前に流れ落ちた夜...