優しいまやかし
- orie
- 5 日前
- 読了時間: 2分

繋げたと思ったものも、積み重ねたと思ったものも
何もかもすべて、まやかしだったのかな。
そうして私を、助けてあげた気になっていたんだ。
繋げたものはあっという間にふわりとどこかへ飛んで行ってしまうし
積み重ねたものも、その重さに耐えきれず崩れ落ちる。
残り続けてくれればいいのに。
ただ、今どうなのかって、本当はそれだけしかない。
積み重ねたはずのものに乗って、違う景色を見たかった。
いつもここではない何処かを想ってしまっていた。
だけどないんだ。
壁の向こうは?何もない。「今」しかないの。
後ろも、先も、霧がかかってしまったみたい。
見えるのはこの足元に広がる地面だけ。私が踏みしめている、ここだけ。
足首に鎖は繋がっていないよ。ただの私がいるだけ。
君の言う「強さ」って、どんなこと?
幸福感に満ち溢れなよって、そんなこと言いたいわけじゃなくて
悩まない?落ち込まない?しゃがみ込まない人のこと?
振り払えない真っ黒の中、それを見据えるってのはつまり……
そうだ、放っておきなよ。
暗闇も、眩しさも、希望とか、絶望とか、そういうの。
彼らはそこにずっと居座るわけじゃない。
君や私を、助けることもしない。
期待をしてもいいけど、それらは必ず変わっていくってことも知っておかなくちゃ。
良い方にも、悪い方にも、必ず変化していく。
変わる時は私なんて初めからいなかったみたいに、こっちを一度も振り返らない。
ほら、つかまえた、話をしようと思っても、気がついたらいなくなっている。
仲良くなったはずなのに
ごめんねも、ありがとうも言わずに。
だから放っておくんだよ。
黒に飲まれても、そこに悪いことが待ち構えているわけじゃない。
光にあてられても、それが必ずしも夢見るほどの価値を抱えているとは限らない。
ぼんやり眺めていられれば、それが強さってことなんじゃないかな。
傷つき方も、治し方も、もう知っているでしょう。
当たり前みたいにやってくること。これからもね。
過去が君を追い詰めるなら…未来が君を怖がらせるなら
知らんぷりして、足元だけを見るんだ。
こうして空気に触れて、息をして、温度のわかる今の場所だけ。
ここには何がある?
これから、何をする?
本当は優しいふりをしているだけかもしれないけど
この日々の良いところだって、きっとあるよ。
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